”古酒”を再蒸留するという前代未聞の取り組み
泡盛は大きく全量3年以上貯蔵した「古酒」とそれ以外の「一般酒」に分かれます。 古酒のエントリーラインとしては古酒表記が出来る「3年古酒」が最も安価な傾向で、一般酒が720mlで1,000円前後で販売される中、3年古酒は1,500~2000円前後と2倍ほどの価格差が生まれます。 ここから大きく5年、10年古酒といった形で年数が上がっていき、沖縄県内の一般的なスーパー、量販店で見るのは10年古酒位までの印象です。 10年以上の古酒となると、酒屋や専門店、量販店の中でも大型店舗での取扱となり、商品によっては桐箱に入った贈答用商品として展示されることも多いです。 そんな泡盛の古酒ですが全量20年以上となる定番製品は40を超える多くの泡盛メーカーがある中で数製品しか発売されておらず、価格も安くて1万5千円前後からと非常に希少かつ高価なものとなります。 こうした背景を踏まえた上で、「26年古酒を再蒸留する」というこの企画情報を公開した際に、shimmerチームや石川酒造場さんには多くの泡盛メーカー、特に製造担当の方から驚きの声をいただきました。
蒸留元の古酒も26年前に実験的に造られたものだった
今回再蒸留する古酒は石川酒造場で、26年前に「良い古酒を造るには色々な成分が含まれている方が良いのでは?」という仮説を基に、 蒸留の後留部分をギリギリまで取った泡盛でした。 一般的に後留部分は香りや風味の癖が強い傾向にあり、26年貯蔵した現在でもまだ個性がありすぎるということから、 大半は引き続き貯蔵しつつ、現時点でも、この古酒を生まれ変わらせることが出来ないか、という想いが石川酒造場にはありました。 そのタイミングで、 「泡盛メーカーの挑戦を応援する」というテーマで立ち上がったshimmerからの製品開発打診があり、この「26年古酒を再蒸留し、ブレンドで生まれ変わらせる」という企画が本格的に動き出すことになりました。
使用したのは普段ジンの蒸留などで利用する小型の縦型蒸留器
石川酒造場さんには普段泡盛を製造する大型・中型の横型蒸留器の他にジンなどを主に製造する小型の縦型蒸留器があります。 今回の再蒸留は300Lとなるので、この小型の蒸留器を利用することになりました。 蒸留が始まると、2つ用意された寸胴のようなタンクに蒸留液を取り貯めていき、 1つのタンクにある程度の量が貯まると横のタンクに切り替えて蒸留液を取っていきます。
既に蒸留液が貯まったタンクは下部に蛇口がついているため、蒸留と並行しながら樹脂でできた15Lの保存容器に蒸留された順から移し分けていきます。
こうして出来上がった15種類の蒸留液と残液(蒸留後の蒸留器内にある液体)を保管し、一定期間寝かせることで、次のステップであるブレンド作業に移行します。
ブレンドに関する記事はshimmer#12 甕仕込 26年古酒分留ブレンド酒 B-sideにて記載しております。