ハブ酒は危険って本当?気になる作り方を酒造所に行って確かめた
- ハブ酒って飲んだら危険じゃないの?
- ハブの毒は消えてるの?
- ハブ酒に入っているハブって生きてるの?
ハブ酒に馴染みのない方であれば、誰しもこのような疑問がでてくるのではないでしょうか?
沖縄に住む毒蛇、ハブ。
そんなハブを使ったハブ酒というと、ゲテモノ料理のような抵抗感があるかも知れません。噂では「ハブが生きてた」という話などもあり、ますます危険な感じもあります。
この記事では、多くのハブ酒を出荷する南都酒造所に行って、危険性があるのか真相を聞いてみました。
この記事を読めば、ハブ酒についていっそう詳しくなること間違いなし!
ハブ酒に興味がある、ハブ酒を飲んでみたい方は、ぜひ最後までお読みくださいね。
ハブ酒は危険なお酒?南都酒造所に話を聞いてきた
沖縄に来た際に観光品店や居酒屋で見るハブ酒。
中にとぐろを巻いたハブが白目で鎮座しながら中々ワイルドな雰囲気を醸しているのもを、目にした方も多いでしょう。
沖縄県では数社がハブ酒を製造しています。その中でもダントツの出荷量を誇るのが「南都酒造所」です。
南都酒造所は沖縄南部の南城市にある観光施設「おきなわワールド」内にあり、連日多くの観光客でにぎわっています。
沖縄のお酒=泡盛というイメージですが、南都酒造所では泡盛は作っていません。クラフトビールや泡盛を原料としたリキュールを主に製造しています。
私が行った時はあいにく天気が悪かったですが、施設内の順路には雨よけもあり、特に濡れる心配もありませんでした。雨でも気軽に立ち寄れるので、ぜひ旅行の際には遊びに来てくださいね。
那覇市内でレンタカーを借りたら30分ほどで着きます。
ハブ酒はどう造られる?工場内をチェック
おきなわワールドの玉泉洞をはじめ、点在する施設を抜けると南都酒造所へやってきます。
地ビール工場や直売店のほか、ガラス張りの工場見学通路では貯蔵タンクの説明があり、ハブ酒を造るために必要な工程である「ハブエキス」の抽出展示がされていました。
広報の方に話を聞くと、ハブ自体は南都酒造所に入荷する時点で低温になっており仮死状態になっているそうです。
そして、南都酒造所では内臓といった臭みの原因になる部分を処理し、最後に高濃度アルコールに漬けて、ハブの持つエキスを抽出しています。
このことから、一部で噂される「ハブがハブ酒の中で生きてた」という話は、“絶対に有り得ない”ということでした。
ただし、入荷時に低温状態にしていてもたまに動く個体がおり、10年以上前には職員が噛まれそうになるアクシデントも合ったそうです。ハブ酒のハブは危険ではないけど、ハブ自体の生命力の強さを感じさせるエピソードだなと思いながら聞いていました。
ちなみにハブの毒については特に処理していないそうです。
「毒の処理してないのに大丈夫なの!?」って思いますよね。
さらにお話をうかがうと、処理せずともアルコールに浸漬すれば、自然に無毒化していくので、ハブ酒には毒は残っていないとのことでした。
ハブ酒に毒が残っている危険性もないので、ご安心いただければと思います。
ハブ酒はハブだけじゃない!ハーブも使うんです
ハブ酒というと、泡盛にハブを漬け込んだだけと思う方も多いのではないでしょうか?
実はハブ酒には、ハーブのエキスもブレンドされているのです。
南都酒造所の商品には13種類のハーブが独自のブレンド比率で配合されており、よりいっそう飲みやすいハブ酒となっています。
例えるなら、薬草系のリキュールのようにボタニカルの華やかな香りがして、ハブ酒の持つワイルドなイメージとはかけ離れた印象を与えます。
ハブ酒に使う泡盛を製造する「上原酒造」にも話を聞いてきた!
ハブ酒で利用される泡盛は”減圧蒸留”の泡盛になりますが、冒頭触れたように南都酒造所では泡盛を原料としたリキュール類を製造しています。
では、この原料となる泡盛はどこからやってくるのでしょうか。
実はハブ酒に使う泡盛は、南都酒造所のある南城市から糸満市に向け車で15分ほどの距離にあるグループ会社の「上原酒造」で造られています。
今回は実際に上原酒造にお邪魔して、設備を見せていただきました。
手前の機械がハブ酒造りのキーとなる減圧蒸留器となります。ちなみに奥にある横長の機械が、通常の上原酒造の泡盛を造る、常圧蒸留器です。
なお、上原酒造の減圧蒸留泡盛は南都酒造所の原料酒として利用されており、常圧の泡盛よりも減圧の泡盛の方がリキュール類を製造するにあたって適しているということでした。
ちなみに、上原酒造の減圧蒸留泡盛は2023年10月の産業まつりで上原酒造の炭酸割り泡盛として提供されていた泡盛になっているそうで、当時飲めた方は非常に貴重な体験をしていたのです。
上原酒造ではハブ酒様の泡盛造りだけでなく、ハブ酒の調合とボトリング(瓶詰め)も行っています。
南都酒造所ではハブエキス・ハーブエキスを製造して、それらを上原酒造に送り、上原酒造側で泡盛とエキス類を調合・瓶詰めしているそうです。
そして再び南都酒造所に商品を配送し、南都酒造所で販売するという、グループ会社内での役割分担があるんですね。
ハブ酒は危険なお酒じゃない!実は知らなかった奥深いハブ酒の世界
最後に今回聞いた内容をまとめました。
- ハブ酒のハブは特殊処理をされた状態で漬けられている
- ハブ酒はハブエキスだけでなく、ハーブのエキスもブレンドされている
- ハブの毒はそのままだが、アルコールで分解・無毒化されている
- ハブ酒に使う泡盛は、グループ会社の上原酒造の減圧蒸留泡盛で造られている
ここまで読んで「ハブ酒がそんなお酒だったとは!?」と驚きになられた方も多いのではないでしょうか。
南都酒造所さん・上原酒造さんのご協力もあり、知られざるハブ酒の秘密に迫ることができたと思います。
次回の記事では、「ハブ酒の種類」について説明しつつ、いろいろな豆知識をご紹介します。ではまた。