もろみ酢と黒酢の違いって何?6つの違いを徹底比較!
もろみ酢と黒酢は、どちらも人気の高い健康酢です。ですが、その違いについて説明できない方が多いのではないでしょうか? そこで今回は、もろみ酢と黒酢の違いを、さまざまな観点から6つに分けて紹介します。
10年以上もろみ酢を愛飲し、複数のもろみ酢製品の開発に携わった「もろみ酢マニア」の私が、実体験を交えて説明します。
この記事を読めば、もろみ酢と黒酢の違いや美味しい飲み方が丸分かりできますよ! 健康酢が気になる方はもちろん、これからもろみ酢・黒酢を飲んでみたい方も、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
眞部 迪子 Mabu Michiko
大学時代に微生物発酵を学ぶ。南島酒販に入社後、10年以上もろみ酢の販売、開発に携わる。好きな発酵食品はもろみ酢、豆腐よう、チーズ、お酒全般。
もろみ酢と黒酢の違い6つ
もろみ酢と黒酢の違いは、次の6つの項目になります。
それでは、順番に詳しく見ていきましょう。
もろみ酢と黒酢の違い:①製造方法
もろみ酢と黒酢のもっとも大きな違いは、製造方法にあります。 もろみ酢は、沖縄のお酒「泡盛」の製造過程で得られる副産物を利用した健康飲料です。泡盛は、蒸したお米に黒麹菌を生やした米麹(=黒麹)と酵母、水で発酵させた「もろみ」からつくられます。 職人による日々の温度管理のもと、20日間ほど発酵させた「もろみ」を加熱して蒸留し、得られるアルコール分が「泡盛」になります。 そして、蒸留後に残った蒸留粕(かす)をしぼったものが「もろみ酢」です。
もろみ酢には、お米由来の栄養素が豊富に含まれています。
一方、黒酢は玄米と黄麹と水で仕込み、1年~3年ほどかけて発酵、熟成させて作った健康飲料です。
まず、壷の中に黄麹を敷き(下麹)、その上から蒸した玄米と水を入れ、最後に上麹をかぶせてふたをします。 屋外に並べられた壷を天日にさらしながら、3か月~6か月かけて発酵を行います。さらに、半年~2年ほどの熟成期間を経て、ようやく黒酢が出来上がる工程です。 熟成年数が長くなるほど、色は濃くなり、黒酢独自の風味や香りが生まれます。
もろみ酢は蒸留、しぼり後すぐのフレッシュな状態で瓶詰めされるのに対し、黒酢は長期間にわたり熟成されたものということですね!
もろみ酢と黒酢の違い:②原材料の種類
もろみ酢と黒酢の原材料にも違いがあります。もろみ酢の主原料はタイ米(インディカ米)です。 タイ米は、硬質米のためパラパラで扱いやすく麹菌の付きが良いことや、発酵過程における温度管理も容易といった理由から、長年泡盛の原料として使用されてきました。
泡盛の起源は諸説ありますが、シャム(現在のタイ)の蒸留酒「ラオロン」とも言われています。 ある泡盛酒造所の社長さんから聞いたお話では、東南アジアのある村で蒸留酒の製造風景を見学したら、昔の沖縄の酒造りの様子にそっくりだったそうです。 泡盛のルーツが東南アジアにあると思うと、ロマンを感じますね!
それに対して黒酢は、うるち米(ジャポニカ米)の玄米が使用されます。 玄米とは、収穫されたコメからもみ殻のみを取り除いた精白されていないお米のことで、栄養価が豊富です。
原材料の違いにより、発酵過程で生成される栄養成分も異なってきます。
まとめると、以下の2点がポイントとなります。
・もろみ酢はタイ米
・黒酢は玄米
もろみ酢と黒酢の違い:③発酵の種類
発酵の種類にも、それぞれ違いがあります。もろみ酢は、糖化(黒麹による発酵)とアルコール発酵によりつくられます。
製造過程の中で、まず黒麹菌がお米に含まれるでんぷんを糖化していきます(黒麹発酵)。 その際に、黒麹菌は多量のクエン酸とアミノ酸も生成します。
次に、黒麹菌が生成した糖分をエサにして、酵母がアルコール発酵を行いお酒がつくられます。 高温多湿の沖縄は、様々な菌にとって繁殖しやすい環境です。 しかし、黒麹菌が多量に生成するクエン酸のおかけでもろみの酸度が高くなり、腐敗を防ぐことができるのです。
ちなみに、もろみ酢は泡盛の副産物であるために、アルコールが含まれると誤解している方が多いようです。 ですがご安心ください! 蒸留によりアルコール分は蒸発しており、もろみ酢はノンアルコール飲料のため、誰でも安心して楽しめますよ。
一方、黒酢は、糖化(黄麹による発酵)、アルコール発酵、酢酸発酵によりつくられます。
黄麹によって玄米のでんぷんが糖化され、アルコール発酵に進むところまではもろみ酢と同じです。 その後、酢酸発酵へと進み、さらに長い熟成期間を経て黒褐色の酢ができあがります。
まとめると以下の表のように、もろみ酢は黒麹発酵とアルコール発酵により作られ、黒酢は黄麹発酵・アルコール発酵・酢酸発酵により作られています。
つぎは、それぞれの発酵によってつくられる成分の違いについて見ていきましょう!
もろみ酢と黒酢の違い:④含まれる成分
もろみ酢の酸味のもとになる成分は、黒麹菌が多量につくり出すクエン酸です。クエン酸はレモンなどの柑橘系に多く含まれる成分で、果実感のあるさわやかな酸味が特徴です。 クエン酸は疲労回復やエネルギーチャージに有効な成分としてもよく知られています。
また、もろみ酢には必須アミノ酸9種を含む18種のアミノ酸が含まれています。 必須アミノ酸は人間の体内で合成することができないため、食品から摂取する必要があります。 必須アミノ酸の不足は、以下のような体全体の健康に関わってくると言われています。
お客様からの声で多く聞かれるのは、「もろみ酢を飲むのをやめると一気に疲れやすくなる」というものです。 毎日続けていると当たり前になってしまいますが、やめるとその効果を実感できないようですね。
それに対して、黒酢の主な酸味成分は酢酸です。
酢酸は食酢やフルーツ酢にも含まれる成分で、ツンとくるような酸味が特徴です。 酢酸にもさまざまな健康効果があり、腸内環境の改善や、血糖値が急激に上がるのを防ぐ効果などがあると言われています。
また、黒酢にもアミノ酸が含まれており、その量は一般的な米酢の数倍もあります。
ただし、黒酢のアミノ酸量は100mlあたり500~600mgなのに対し、もろみ酢のアミノ酸量は2000mgほどあります。
アミノ酸量だけでいえば、もろみ酢に軍配が上がると言えるでしょう。
まとめると、もろみ酢にはクエン酸とアミノ酸が、黒酢には酢酸とアミノ酸が含まれています。
もろみ酢にも黒酢にも健康によい成分が豊富に含まれていますので、体の調子やライフスタイル、味の好みなどで上手に選んでくださいね。
もろみ酢と黒酢の違い:⑤産地
もろみ酢の主要産地は沖縄県です。 沖縄県以外でも、もろみ酢を製造できますが、もろみ酢公正取引協議会の定めにより「琉球もろみ酢」と名乗れるのは、沖縄県で製造したもろみ酢だけです。 本場である沖縄産のもろみ酢を選びたい方は、商品パッケージの「GIマーク(地理的表示)」や、一括表示の製造者住所が沖縄県であることをチェックするとよいでしょう。黒酢はもともと鹿児島県の福山町、隼人町方面の伝統食品でしたが、現在では鹿児島県各地や他県でも作られています。 もろみ酢と同様、「GIマーク」やパッケージ表記で鹿児島県産であることを確認することができます。
もろみ酢の主要産地は沖縄県、黒酢は鹿児島県と覚えましょう。
もろみ酢と黒酢の違い:⑥味わいと飲み方
もろみ酢は、クエン酸の酸味とアミノ酸の旨みが特徴的で、黒麹独特の香りも感じられます。 市販されているもろみ酢の多くは、黒糖や砂糖でまろやかな味つけがされているため、飲みやすい商品が多いです。 糖分が気になる方向けに、無加糖タイプのもろみ酢も販売されていますよ。もろみ酢を冷蔵庫でよく冷やし、割らずにストレートで飲む方も多くいますが、初心者の方には、冷水や炭酸水、お好みのジュースで割るのがおすすめです。
牛乳や豆乳で割ると、とろみがついてまろやかになり、まるで飲むヨーグルトのような味わいになります。
これだと、お子様や酸っぱいものが苦手な方でも、もろみ酢をおいしく楽しめますよ。
その他意外な飲み方として、リピーターの方から人気なのがトマトジュース割りです。 もろみ酢にもトマトにもアミノ酸の一種「グルタミン酸」が豊富に含まれているため、相性が良いと言われています。
一方黒酢は、酢酸のツンとくる酸味とアミノ酸によるコクのある味わいが特徴です。 熟成年数が長いほどカドが取れ、まろやかな味わいになります。 とはいえ、ストレートで飲むには酸度が強いため、一般的には水などで薄めて飲むことが多いです。
お好みでハチミツを加えたり、もろみ酢と同様に牛乳や豆乳で割ったりするのもおすすめです。 ジュースと炭酸水を混ぜて、フルーツ酢のように楽しむのもよいでしょう。
また、もろみ酢も黒酢も、お料理に活用できます。 健康成分を摂取できるだけではなく、お肉を柔らかくし、さわやかな酸味で料理の味を引き締めることができますよ!
詳しいもろみ酢の飲み方についてはこちらでご紹介しています!
↓↓↓
『もろみ酢の美味しい飲み方6選!マニアおすすめのアレンジを紹介』
まとめ
最後にもう一度、もろみ酢と黒酢の違いをまとめます。
もろみ酢にも黒酢にも、こだわりの製法や原材料から生み出される健康成分や味わいの良さがあります。
ぜひ飲み比べてみて、自分に合う商品を見つけてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!